【令和2年】扶養控除申告書の記入方法

今回は【令和2年度】年末調整に必要な「扶養控除申告書」の書き方について解説をしていきます。この扶養控除申告書はほとんど全ての従業員が会社に提出をすることになります。なぜなら提出をしなかった場合、以下のデメリットが生じるためです。

未提出のデメリット
  • 給与天引きの所得税が乙欄という高い金額で計算されてしまう
  • 会社が年末調整をしてくれないので自身で確定申告に行かなければならない

扶養控除申告書を提出する目的は、配偶者控除、扶養控除、障碍者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除などの各種控除を受けるための申告書ですが、これらの控除を受ける予定がないという人も、上記のデメリットを避けるために提出することになります。但し、ダブルワーク等で2箇所以上の勤務先がある場合は、1箇所にしか扶養控除申告書は提出できませんので注意しましょう。記事の続きでは、具体的な記入方法について説明しておりますので是非最後までお読みください。

1.扶養控除申告書の様式

扶養控除申告書の様式はこちらになります。PDFでご用意しましたので手元にない方はクリックして取得してください。令和2年度分は昨年度の年末調整時(新入社員は入社時)に預かっているはずです。また令和3年度分は、令和3年の1月の給与計算のために必要なため、今回の年末調整で預かっておきます。

令和2年(本年度の年末調整で必要)

令和3年(来年度の給与計算で必要)

2.扶養控除申告書の記入方法

それでは、記入方法について確認していきます。扶養控除申告書に①~⑤までの番号を付しましたので、順番に見ていきます。

*左上の×を付している箇所は会社側が記入する欄となっていますので、従業員側では記入不要です。
*「単身児童扶養者」の欄は法令改正により記入不要となっています。

(1)本人情報

まずは①からです。こちらは、本人情報として全ての人が記入する必要があります。氏名、個人番号、住所、生年月日、世帯主の氏名、続柄、配偶者の有無を記載し、押印します。自身の情報なのでサラッと記入してしまいましょう。
配偶者・扶養親族がおらず、ひとり親、寡婦、勤労学生せず、障碍者手帳をお持ちでない方はここまでで記入完了です。この状態で会社に提出をします。控除を受ける必要がない方は本人情報のみの記入で済むので簡単なのです。

(2)源泉控除対象配偶者

次に、②の源泉控除対象配偶者の記入方法についてです。配偶者がいて、以下の条件を満たす場合には記入が必要となります。

源泉控除対象配偶者の要件
  • 本人の所得が900万円以下(給与年収のみで1095万円以下)である
  • 配偶者の所得95万円以下(給与年収のみで150万円以下)である
  • 本人と生計を一にする配偶者である
  • 配偶者が青色事業専従者として給与を受けとっていな、白色事業専従者でない

*配偶者の給与年収が150万円以上の場合は「配偶者控除等申告書」に記載することになります。
*所得については見積額を記入します。給与のみの場合は「給与収入から55万円」を差し引いた金額を記入します。給与以外にも収入ある方は、給与以外の所得も見積額に足してください。

(3)控除対象扶養親族(16歳以上)

続いて③です。こちらは以下の条件を満たす16歳以上の扶養親族がいる場合に記入をします。

源泉控除対象配偶者の要件
  • 配偶者以外の親族である
  • 親族の所得が48万円以下(給与年収のみで103万円以下)である
  • 本人と生計を一にする配偶者である
  • 青色事業専従者として給与を受けとっていな、白色事業専従者でない

*16歳未満の扶養親族がいる場合は、「住民税に関する事項」に記載します。
*19歳〜23歳未満の子供は特定扶養親族に該当するため、「特定扶養親族」にチェックをします。
*扶養親族が70歳以上である場合、「老人扶養親族」に該当します。同居している場合は、「同居老親等」にチェックしましょう。老人ホーム等に入居している場合等は、「その他」にチェックしてください。

(4)障害者、ひとり親、寡婦、勤労学生

④に盛り沢山ですが、まず障害者控除について説明します。障害者控除は、本人が障害者である場合や、同一生計配偶者や扶養親族が障害者である場合に控除を受けることができます。障害者控除は、16歳未満の扶養親族にも適用されます。重度の精神障害や知的障害、身体障害等があると判定された「特別障害者」の場合は、「左記の内容」に障害者手帳の種類や障害の等級などを記載します。

続いて、ひとり親控除と寡婦控除についてです。要件は、以下のようになります。

ひとり親控除を受けるための要件
  • 死別や離婚や未婚により現在婚姻していない、もしくは配偶者の生死が明らかでない
  • 所得が500万円(給与収入のみ6,777,778円)以下である
  • 事実上の婚姻関係にある人がいない
  • 生計を一にする子がいる
寡婦控除を受けるための要件
  • ひとり親に該当しない女性である
  • 所得が500万円(給与収入のみ6,777,778円)以下である
  • 夫と離婚した後に婚姻をしておらず、扶養親族がいる
  • 夫と死別した後に婚姻をしておらず、もしくは夫の生死が明らかでない

*令和2年の扶養控除申告書では、ひとり親控除チェック欄がないので↑のように記入します。
*寡婦の場合は「寡婦」にチェックを入れてください。

続いて勤労学生控除についてです。勤労学生控除を受けるための要件は以下の通りです。

勤労学生の要件
  • 本人が小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学の学生、国や地方公共団体、学校法人などが設立した専修学校、各種学校、または職業訓練学校のうち一定の要件を満たす学校の学生である
  • アルバイトでの所得金額が75万円(給与収入130万円)以下である

(5)他の所得者が控除を受ける扶養親族等

最後に⑤他の所得者が控除を受ける扶養親族等ですが、こちらは夫婦共働き等で子供を扶養親族としなかった場合に記入します。例えば、記入が夫で、子供を妻の扶養に入れたというような場合です。

3.最後に

いかがでしょうか。扶養控除申告書は記載箇所が多いように見えますが、自身が該当する項目だけ記入すれば良いのでそこまで難しく考える必要はありません。この記事を参考に漏れがないよう記入をしましょう。

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